2010年09月06日-1
財務省、他へ移行不能な適格退職年金の優遇継続

 財務省は、租税特別措置等に係る政策の事前評価書において、制度的に他の企業年金等へ移行できない適格退職年金に係る税制優遇措置及び適格退職年金の積立金に対する特別法人税の撤廃若しくは課税停止措置の延長を行う方向で、2011年度税制改正要望に盛り込んだ。支えあう社会を実現するとともに、経済・社会の構造変化に適応し、国民が信頼できる税制の構築を目指すとして、金融庁、厚生労働省も要望している。

 適格退職年金は、受給権保護の仕組みがより優れている確定給付企業年金法の施行(2002年4月1日)に伴い、10 年間という猶予期間を設けた上で廃止することとされた。現在、他の企業年金等(厚生年金基金、確定拠出年金、確定給付企業年金及び中小企業退職金共済)への移行を促進しているが、倒産などで企業が存在しない等のために企業年金等に移行できない適格退職年金が存在している。

 財務省によると、適用数は2009年度末で93件・296人、2010年度末84件・267人で、今後2011年度末75件・240人、2012年度末66件・210人、2013年度末58件、187人が見込まれている。このため、企業が存在しないなどのために企業年金等に移行できない適格退職年金に限っては、廃止期限後も、税制優遇措置(運用時:非課税、給付時等:公的年金等控除、退職所得控除等)を継続するというもの。

 企業が存在しないなどのために企業年金等に移行できない適格退職年金は、何も措置を講じなければ、廃止期限後には税制優遇措置がなくなることで年金受給額が減少する。また、企業年金等へ移行可能であることを前提に廃止が決められたことから、企業年金等に移行できない適格退職年金については、廃止期限後も税制優遇措置を継続することにより受給権の保護が図られ、安定した老後の所得確保が図ることができる、としている。

 この件の詳細は↓
 http://www.mof.go.jp/jouhou/hyouka/honsyou/22nendo/hyoukasho/jizen1.pdf

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