2010年09月02日-2
経産省、法人実効税率の引下げなど税制改正要望

 経済産業省が8月30日に発表した2011年度税制改正に関する要望によると、経済成長及び雇用確保を実現するための産業競争力の強化の観点から、(1)法人実効税率の引下げ、(2)研究開発投資の充実のため、研究開発促進税制の税額控除限度額の引上げ(20%→30%)措置の維持、(3)日本のアジア拠点化のため、他のアジア諸国に比肩しうる税制優遇制度を創設、(4)ナフサや石炭の原料用途免税等の恒久化、などを掲げた。

 法人実効税率の引下げでは、わが国の立地競争力を高めるため、国際的水準を目指して主要国並みに段階的に引き下げるべく、法人税率を5%引き下げ、その際、課税ベースの拡大を含め、財源確保に留意するとしている。表面実効税率の国際水準はこの10年間で25~30%に引き下げられており、日本の法人税の実効税率は40.7%で、経済開発協力機構(OECD)加盟30ヵ国の平均約26%やアジアの平均約25%に比べ、突出して高い。

 経産省では、EU15ヵ国ではこの10年間で表面実効税率を10%程度引き下げても、法人設立の増加等により、名目GDPに占める法人税収のウエイトは増加傾向にあるとの「法人税パラドックス」を示している。財界を中心に法人税引下げを求める声が強いが、5%引き下げると税収が1兆円程度減る見込み。政府は、新たな減税措置は新たな財源の確保を条件とするルールを設けているが、経産省は具体的な財源案を示していない。

 また、地域の経済・雇用を支える中小企業の活性化の観点から、(1)財源確保と合わせ、中小企業に対する軽減税率の引下げ、(2)中小企業等基盤強化税制を一部制度を見直した上で延長、(3)産業集積の再生に向けた市区町村向け高度化融資の創設に伴う税制措置の整備、(4)企業立地促進法に基づく同意基本計画で定められた集積区域における集積産業用資産の特別償却制度の延長、などの改正要望を掲げている。

 そのほか、成長の原動力たるグリーン・イノベーションの推進の観点から、税制のグリーン化や地球温暖化対策のための化石燃料課税の強化の検討も掲げた。税制のグリーン化では、CO2排出量の削減を目的とした裾野の広い高効率な省エネ設備や再生可能エネルギー設備に重点化したグリーン投資減税の導入や、再生可能エネルギー利用設備の加速度的普及を図るため、固定資産税の課税標準額を軽減する対象設備の拡充を求めている。

 経済産業省要望の概要は↓
 http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/2011/doc04-2.pdf

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