2010年09月02日-1
国税庁、2011年度定員要求で1087人の増員要求

 国税庁が8月31日に発表した2011年度定員・機構要求によると、2011年度の定員要求については、今年7月27日の閣議決定された『平成23年度予算の概算要求の組換え基準について』において、「人件費についても、各大臣において抑制・削減に取り組む」こととされたことを踏まえ、増員要求を厳に抑制することとされているなか、「税制改正等への対応」や「調査・徴収体制の充実強化」の観点から1087人の増員要求を行った。

 ただし、2011年度の国税庁の定員合理化目標数は1058人となっていることから、このまま要望が100%認められれば、同庁の2011年度の定員数は29人の純増となる。一方、機構要求についても、既存機構の合理的再編成により対処し、行政組織等の肥大化を来たさないよう強く求められるなか、「経済の国際化への対応」、「調査・徴収体制の充実強化」を主眼として、真に必要な機構の要求を行ったとしている。

 経済の国際化への対応としては、国税庁に企画専門官、酒類品質安全専門官(仮称)、国税局に主任国際情報審理官(仮称)など、また、調査・徴収体制の充実強化としては、(1)コンプライアンスの維持向上のために東京局に課税第一部次長の増設、調査第四部次長の新設、大阪局に査察部次長の増設、(2) 審理事務等の充実等に向け関東信越及び名古屋国税局に特別整理総括課の設置や税務署への国際税務専門官の増設などを求めている。

 その他、源泉所得税事務の一層の効率化を図ることを目的に東京・大阪・名古屋・仙台などの国税局(実際は税務署)に設置している「源泉所得税事務処理集中センター室」の熊本国税局への新設や、課長級まで進んだ職員のそれまで培った専門的な知識や経験を生かして、定年まで働けるようにするための専門スタッフ職として「相互協議支援官」及び「酒類国際技術情報分析官」(ともに仮称)の設置なども要望している。

 また、国税庁が同日に公表した2011年度予算概算要求・要望額によると、緊縮財政のなかで税務行政といえども必要経費を十分に確保することは難しいが、2011年度は、2010年度当初予算額に比べ1.5%(約106億円)増の約7270億円を求めた。国全体の歳出削減が厳しく求められるなかで、税務行政の一層の適正な執行を確保し、適正・公平な課税の実現や歳入確保の要請に応えるためのギリギリの要求ということになる。

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