2010年09月01日-1
日本経団連が国際課税関係の改正を経産省に要望

 日本経団連は、2011年度税制改正要望の中で国際課税関係の改正の実現に力を注いでいる。日本経済の浮沈の鍵を握る輸出企業の国際競争力支援のため、法人税率の引下げとともに国際課税問題も競争力維持には欠かせず、経産省のヒヤリングでも、(1)移転価格税制の見直し、(2)租税条約ネットワークの充実・拡大、(3)直接外国税額控除制度の見直し、(4)タックス・ヘイブン対策税制の適切な執行、の4項目を要望した。 

 移転価格税制では、事前確認制度及び相互協議の一層の迅速化・効率化、国外関連者要件について、実際には支配権が及ばない株式保有比率50%の場合を除外し、50%超とする等の見直し、寄附金課税と移転価格課税の境界線の明確化、独立企業間価格の算定に係るOECDガイドラインの改定版の公表に伴う制度改正及び執行は企業の実態・実情を踏まえ、納税者の理解・納得を得ながら進めていくこと、などを挙げている。

 特に、利益分割法を伝統的な取引基準である基本三法(独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法)と同等の基準として位置付けるのであれば、無形資産取引、役務提供取引の取扱いについてさらに明確に規定する等、納税者の予見可能性を高めることによって、国際的な二重課税リスクの解消、納税者の予見可能性の向上による、わが国企業の安心かつ確実な海外事業展開の確保が図れるとしている。

 租税条約ネットワークの充実・拡大では、ブラジル、中国、タイ、インド、インドネシア、シンガポール、韓国、ドイツ、ロシア等との租税条約の改定に加え、アルゼンチン、コロンビア、ベネズエラ、チリ、ナイジェリア等の未締結国との条約締結交渉を進め、「親子間配当及び貸付金利息に係る源泉徴収の免除規定、使用料に係る源泉徴収の減免規定、移転価格税制に係る対応的調整規定、仲裁規定等を盛り込むこと」を要望した。

 経団連の税制改正要望は↓
 http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100803c03j.pdf

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