2010年08月18日-1
中小企業の実態に合った「新会計指針」を検討

 中小企業の実態に合った会計のあり方を検討している中小企業庁の「中小企業の会計に関する研究会」はこのほど中間報告書案を公開し、中小企業の実態、中小企業の会計を取り巻く枠組みについて、現状を概観した上で、中小企業会計指針とは別に、中小企業の実態に即し、国際基準の影響を受けない、中小企業の特性を踏まえた新たな会計指針を検討すべきことを示した。

 同中間報告書案によると、中小企業の場合、会計情報の開示が求められる範囲は取引先、金融機関、同族株主、税務当局等に限定されていることに加え、経営者や従業員の会計に関する知識も十分でないため、高度な会計処理に対応できる能力や十分な経理体制を持ち合わせていない、という実態がある。このため、資本市場を通じて外部の投資家から資金調達を行う大企業とは、要求される会計処理が大きく異なっている。

 こうした中小企業の実態等を踏まえると、中小企業の会計処理のあり方は、(1)経営者が理解でき、自社の経営状況を適切に把握できる「経営者に役立つ会計」、(2)金融機関や取引先等の信用を獲得するために必要かつ十分な情報を提供する「利害関係者とつながる会計」、(3)実務における会計慣行を最大限考慮し、税務との親和性を保てる「実務に配慮した会計」、(4)中小企業に過重な負担を課さない「実行可能な会計」、が望ましいとしている。

 現在、中小企業を対象にした会計基準として「中小企業の会計指針」(中小指針)があるが、一般的な中小企業にとっては、この中小指針にしても高度かつ複雑で、経営者には理解しにくいとの指摘があった。これを踏まえ、中間報告書案では、中小企業団体、金融機関、小規模零細企業、公認会計士や税理士などが参加し、新たな会計処理を取りまとめるべきであるとした。取りまとめにあたっての基本方針は以下のとおり。

 (1)中小企業が会計実務の中で慣習として行っている会計処理のうち、会社法の「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」と言えるものを整理する。(2)企業の実態に応じた会計処理を選択できる幅のあるものとする。(3)中小企業の経営者が理解できるよう、できる限り専門用語や難解な書きぶりを避け、簡潔かつ平易で分かりやすく書かれたものとする。(4)記帳についても、重要な構成要素として取り入れたものとする。

 同中間報告書案の全文は↓
 http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/kaikei/download/100729HS-3.pdf

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