2010年08月16日-2
漸進的税率引上げを~消費税増税スケジュールを提起

 社会保障費の増大が避けられないわが国では、増税なしに持続的な財政の改善は望めず、財政健全化の手段として消費税率の引上げが最も有力な手段である。この目標を達成するためには、景気にも配慮しつつ年間1~2%の漸進的な税率引上げを2011~2012年度にも開始する必要がある――みずほ総合研究所が、「消費税増税スケジュールを考える」と題したレポートを発表した。

 レポートは、6月に就任した菅首相の下、「財政運営戦略」を発表、財政健全化目標として「2015年度の基礎的財政収支赤字半減、2020年度黒字化」を定め、G20サミットで「財政健全化計画を歓迎する」と、事実上の例外扱いが認められたが、基礎的財政収支は2010年度時点でGDP比▲6.4%と見込まれ、名目成長率1%台という慎重シナリオでは2015年度同▲4.2%、2020年度では同▲3.8%と、半減・黒字化は達成できないとしている。

 そこで、「2012年度以降の名目成長率+1.5%(実質成長率+1.0%)、消費税率5%」をベースラインとし、パターン1:消費税率を2013年度から毎年1%ずつ引き上げる場合、パターン2:2013年度から3年ごとに2%ずつ引き上げる場合、パターン3:2013年度・2016年度にそれぞれ5%ずつ引き上げる場合、に基礎的財政収支と成長率にどのように影響が生じるかを試算している。

 ベースラインでは2025年度の基礎的財政収支は▲3.4%と、赤字半減・黒字化の目標達成は不可能。パターン1で、2017年度赤字半減、2022年度黒字化達成。パターン2で赤字半減が2018年度、黒字化は2025年度と後ずれする。パターン3で初めて基礎的財政収支は2015年度▲2.3%、2020年度+0.2%となる。財政運営戦略で表明した健全化目標達成には、2015年度までに5%程度、2020年度までにさらに5%引上げが必要となる。

 同レポートの全文は↓
 http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/japan-insight/NKI100809.pdf

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