2010年08月09日-2
法人実効税率、企業の7割超が「引き下げるべき」

 現在、世界各国において法人税率の引下げ競争が行われているなか、政府は新成長戦略で法人実効税率(約40%)を主要国並みに引き下げていくことを掲げており、日本の企業の競争力強化や雇用の確保などにおいて議論が活発化している。帝国データバンクが7月下旬に実施した「法人課税の実効税率等に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1446社)によると、「引き下げるべき」とする企業が71.4%と7割を超えた。

 他方、「引き下げるべきでない」とする企業は10.4%と約1割となった。引き下げるべきと回答した企業を規模別にみると、「大企業」が67.1%だったのに対し、「中小企業」は72.7%と大企業を5.6ポイント上回り、中小企業で実効税率引下げを求める割合が高い。業界別では、「不動産」(74.9%)がもっとも高く、次いで「運輸・倉庫」(74.1%)、「販売」(72.5%)、「サービス」(72.5%)と内需型産業が続いた。

 法人課税の実効税率の引下げで期待すること(複数回答)は、「企業利益の押上げ」とする企業が64.6%で最多、「企業の国際競争力の向上」(43.9%)、「国内景気の上昇」(41.9%)、「国内雇用の確保」(37.2%)、「企業の海外移転の抑制」(31.3%)が続いた。多くの企業が企業利益の押上げを期待しているが、黒字申告割合が3割を下回るなかで、実効税率の引下げを有効なものにするためにも、一刻も早い黒字企業の拡大が必須となる。

 法人課税の高負担が継続する場合に企業の競争力に与える影響については、「深刻な影響を与える」が26.1%、「ある程度はマイナスの影響」が46.3%となり、7割を超える企業で高い法人課税が企業の競争力に影響を与えることを懸念している。一方、社会保険料が増大する場合では、「深刻な影響を与える」は28.6%、「ある程度はマイナスの影響」が44.7%と、計73.3%が社会保険料の増大が企業の競争力に影響を与えると考えている。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1007.pdf

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