2010年08月05日-2
純資産価額方式の法人税額等相当額が45%に変更

 2010年度税制改正で、法人税法上の清算所得課税が廃止され、清算中の法人についても通常の所得金額に対する課税が行われる。これに伴い、純資産価額方式における「評価額に対する法人税額等に相当する金額」の算定上の「法人税、事業税、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合」が42%から45%に改正され、10月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した取引相場のない株式等の評価に適用される。

 非上場株式を評価する場合の純資産価額方式の計算式は、「純資産価額=〔総資産価額-負債の合計額-評価差額に対する法人税額等に相当する金額〕÷発行済株式数」。この場合の「法人税額等相当額」は、「相続税評価額による純資産価額」から「帳簿価額による純資産価額」を控除した残額に、「清算所得に対する法人税、事業税、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合」として「42%」を乗じた金額とされていた。

 純資産価額方式で「評価差額に対する法人税額等相当額」を控除するのは、株主からすれば、株式の所有を通じ会社の資産を所有することとなり、個人事業主が事業用資産を直接所有するのとは所有形態が異なるため、両者の事業用資産の所有形態を経済的に同一条件の下に置き換えた上で評価の均衡を図る必要があることによるもの。2010年度改正後も、課税方式は異なるものの、解散した法人への課税は変わらず、均衡を図ることとなる。

 例えば、法人の解散直後に残余財産の確定・分配が行われた場合に、法人の解散時の残余財産の時価で譲渡損益が認識され、譲渡益(残余財産の含み益)は通常の所得金額の計算上、益金の額に算入されて、その所得金額に通常の法人税率で課税されることになる。このため、「評価差益に対する法人税額等相当額」の計算は、清算所得の税率(27.1%)を通常の「30%」に置き換え、法人税率等の合計割合を42%から45%に改正したもの。

 45%控除の内訳は、(1)法人税30%、(2)事業税5.3%、(3)地方法人特別税4.293%、(4)道府県民税1.5%(法人税額×5%)、(5)市区町村民税3.69%(法人税額×12.3%)。合計すると44.783%だが、端数処理をして45%とした。

 この件の国税庁の解説の詳細は↓
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hyoka/100701/pdf/01.pdf

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