2010年08月05日-1
「忍び寄る財政破綻へのカウントダウン」と警鐘

 7月11日の参議院選挙で民主党が大敗した。敗因は、菅首相が唐突に消費税率引上げに言及したこととされ、一時盛り上がった消費税率引上げ論議が先送りされようとしているなかで、みずほ総合研究所が「忍び寄る財政破綻へのカウントダウン」と題したレポートを発表し、「消費税率引上げをタブー視し、議論さえしないという余裕は、今の日本にはない」との警鐘を鳴らしている。

 同レポートによると、日本の財政状況は、先進国で最悪の水準にある。2009年度末の国及び地方の長期債務残高(約819兆円)の対GDP比は172%と、先進国のなかで突出しており、2011年度以降も国債発行額が税収を上回る事態が恒常化する可能性が高く、何も手を打たなければ国債残高は雪だるま式に膨らみ、2020年度を待たずに残高1000兆円を超える見通しであるとしている。

 その打開策として、主要国と比べ高い法人税率の引下げやさらなる規制緩和等の成長戦略を先行して実施し、経済成長の原動力である企業に活力を取り戻させ、企業から家計へという経済成長の好循環を作り出す。並行して、給付と負担の世代間の公平性や政府負担の抑制に配慮した社会保障制度の抜本的改革を行う。そして、財政再建が可能な水準までへの消費税率の段階的引上げを早期に決定、着実に実施することが必要と主張している。

 政府(政治家)は、現在日本が置かれている状況を正確に、率直に、国民に説明する必要がある。「まずムダを削ってから」と言って、議論さえしない時間的余裕は残されていない。誰でも税金が安いに越したことはないが、高齢化が進む現在の日本のなかで、相応の社会保障給付と財政サービスを享受するためには、国民一人ひとりが一定レベルの税金を負担する必要があることを自覚しなければならない、とレポートは結んでいる。

 同レポートの全文は↓
 http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/research/r100801point.pdf

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