2010年08月04日-1
連結納税開始・加入前の子会社欠損金の持込み可能に

 連結納税制度の採用企業数は、2008年6月30日現在で親法人数795件、子法人数6546件の計7341件。鳴り物入りで導入されたにしては、制度自体に様々な“障壁”があった。その一つである連結納税開始・加入前の子会社の欠損金の取扱いが、2010年度税制改正においてアメリカなどと同様に導入・加入後もその子会社の所得金額の範囲で単体欠損金の持込みが認められることとなった。

 本来、連結納税制度を適用する最大のメリットは、連結適用法人で発生した欠損金額を繰り越し、連結所得から控除できることにある。しかし、改正前は、(1)親会社の適用開始前7年以内に生じた欠損金額、(2)適用開始前7年以内に行われた株式移転により完全子会社となった100%子会社で、適用開始以後継続して100%子会社である法人の適用開始前7年以内に生じた欠損金額または連結欠損金額の個別帰属額、以外は認められなかった。

 こうした連結納税制度導入のカベが、2010年度改正で、連結納税の開始または連結納税グループへの加入に伴う資産の時価評価制度の適用対象外となる連結子法人の、その開始または加入前に生じた欠損金額を、その子会社の個別所得金額を限度として、連結納税制度の下で繰越控除の対象に追加されることとなった。この改正は、2010年4月1日以後に開始する事業年度から適用されている。
 
  適用対象法人は、(1)親会社に長期(5年超)100%保有されている法人、(2)親法人または100%子法人により設立された法人、(3)適格株式交換による完全子法人等。また、連結納税制度の適用受ける場合に、原則としてその適用しようとする事業年度開始の日の前日から起算して6月前の日までに親会社と子会社の連名で承認申請書を国税庁長官に提出して承認を受ける必要があるが、承認申請書の提出期限が「3月前の日」に短縮されている。

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