2010年07月29日-1
消費税逆進性対策に給付付税額控除効果も財源に課題

 財政再建や社会保障費のため消費税率引上げが議論されているなか、第一生命経済研究所は、逆進性緩和策としての軽減税率と給付付税額控除について試算を行ったレポートを発表した。資産の結果、食料品や生活必需品の税率を低く設定する軽減税率の導入に比べ、第1階級の消費支出額と生活保護給付額を基礎的支出とみなして消費税額を給付する給付付税額控除とでは、給付付税額控除のほうが逆進性緩和という点では効果的だった。

 まず、フランス、ドイツ等で採用されている軽減税率は、食料品、水道光熱費、新聞、雑誌、書籍などの生活必需品の税率をゼロ%あるいは低く設定する。例えば、現行の消費税率5%相当の税収確保を前提に食料品の消費税率をゼロ%とした場合の消費税負担率(=消費税負担額÷所得×100)を試算すると、若干の改善はあるものの、逆進性は大きく変わらない。同じ税収を食料品以外の消費税で補うためには6.7%の消費税率となる。

 一方、給付付税額控除は、控除額が課税所得額を上回る場合や課税所得が課税最低限以下の場合に給付するという税と社会保障を一体化した制度。カナダの給付付税額控除制度を日本に適用した場合、給付額は本人・配偶者とも2.4万円、子ども1人あたり1.3万円とし、世帯所得のうち313万円超部分の5%が給付額から減額される設計では、消費税負担率は大幅に緩和される。また、同税収確保のためには消費税率5.5%に高まる。

 給付付税額控除は、逆進性緩和には効果があるものの、財政負担が重くなる。例えば、消費税率10%として家計調査の所得階級における第1階級(190万円以下)の消費支出を基礎的支出とみなし、そのうちの消費税額を控除額とするケースでは、その必要財源は消費税率換算で7.4%に達し、ネットの税収は2.6%と現行の5%の税収を下回ってしまう。つまり、所得税を含めた抜本的な税制改革がどうしても必要、としている。

 同レポートの詳細は↓
 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban_index.html

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