2010年07月15日-1
9割のFX投資家が金融所得課税の一体化を望む

 FX(外国為替証拠金)取引は取引所取引と店頭取引に大別される。FX取引による利益の税務上の取扱いは、取引所取引は申告分離課税として所得の大小にかかわらず一律20%の税率となり、店頭取引は雑所得として総合課税となり、所得とFXの利益の合算額で税率が決まる。今年の8月からはレバレッジが規制されるため、両者の商品性にはほとんど違いがなくなるが、税制は全く異なっている。

 矢野経済研究所が、現在FX取引を行っている全国の男女を対象に実施した「FX税制に関する投資家の意識調査」結果(有効回答数7748人)によると、取引所取引と店頭取引とで課税体系が異なることを「知っている」との回答は78.0%だった。しかし、店頭取引のみで取引するFX投資家(全体の64.9%)の認知度が83.5%であるのに対し、取引所のみのFX投資家(同18.2%)は44.9%と、認知度に大きな差異があることが分かった。

 FX取引をする場所が異なるだけで、税制が異なることが「明らかに公平ではない」と不公平感を抱いているのは、店頭取引のみで取引するFX投資家では81.6%にのぼり、「やや公平ではない」(11.2%)を合わせると9割強を占める。税制が優遇されている取引所取引のFX投資家でも、「明らかに公平ではない」との回答が61.5%(「やや公平でない」(11.9%)も含めると73.4%)もあった。

 また、金融所得課税の一体化の是非については、「すべての金融商品で一体化すべき」との回答が47.6%、「金融商品ごとに異なるのは仕方がないが、FXのように同じ金融商品では一体化すべき」が42.2%と、何らかの一体化が必要と回答したFX投資家は89.9%となった。一体化の時期は、「直ちに導入すべき」が44.1%、「可能な限り早く導入すべき」が42.9%となり、「早期に一体化を導入すべき」との意見は合計87.0%だった。

 取引所取引における申告分離課税の魅力(複数回答)は、「損失額の繰越し」(74.6%)、「税率」(67.1%)、「他の取引所商品との損益通算」(48.6%)などが挙げられた。一方、店頭取引で取引しているFX投資家は、確定申告が「難しかった」(21.9%)、「やや難しかった」(29.9%)を合わせた「難しかった」は51.8%、対して、「それほど難しくなかった」(35.2%)、「簡単だった」(13.1%)との回答が合計で48.3%と、ほぼ半々という結果だった。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.yano.co.jp/press/pdf/629.pdf

ウィンドウを閉じる