2010年07月12日-3
年金払い型死亡保障保険の最高裁判決でレポート

 年金払い型死亡保障保険の年金部分への所得税課税が二重課税であるとの最高裁判決が7月6日に出されたが、同判決についてニッセイ基礎研究所の「研究員の眼」でレポートしている。年金への課税につき「その年金受給権について、みなし相続財産として相続税が課税されたにもかかわらず、年金にも雑所得として所得税が課税されるのは二重課税に当たるとする原告側の主張を認容した(裁判官4人全員一致)」とコメント。

 レポートは、年金払い型死亡保障保険のその年金受給権を相続税法第24条により有期定期金として残存期間に応じた評価額を示した。残存期間5年以下:給付金額の総額×70/100、同10年以下:×60/100、同15年以下:×50/100、同25年以下:×40/100、同35年以下:×30/100、同35年超:×20/100。また、年金については、所得税法施行令により雑所得として年金額-年金年額×既払込正味保険料総額/年金支給総額と説明。

 最高裁判決は「相続開始後のこうした年金への課税は、所得税法9条1項15号(相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するものには、所得税を課さないとする二重課税禁止規定)違反」とした。一方、定期金の権利の評価については今年度税制改正で、評価金額は「解約返戻金相当額」、「定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、当該一時金相当額」、「予定利率等を基に算出した金額」のいずれか多い金額とされた。

 すなわち、残存期間に応じた権利の評価金額の軽減が廃止され、判決のケースでは「定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合」として、その一時金相当額について課税されることとなると説明。今後、年金払い型死亡保障保険について「相続時の課税の変更(権利の評価金額の軽減廃止)」及び「いったん相続税が課税された後に支払われる年金についての課税の廃止」という大きな影響が出るものと想定される、としている。

 同レポートの全文は↓
 http://www.nli-research.co.jp/report/researchers_eye/2010/eye100706.html

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