2010年07月12日-2
09年度物納申請件数は42%増と2年連続の増加

 国税は金銭による納付が原則だが、相続税については、財産課税という性格上、延納によっても金銭納付が難しい理由がある場合は、一定の相続財産による物納が認められている。国税庁がこのほど公表した2009年度相続税の物納申請状況等によると、今年3月までの1年間の物納申請件数は727件(前年度比4.2%増)、金額では654億円(同16.0%増)となり、件数で10年ぶり、金額で6年ぶりに増加に転じた昨年に引き続き増加した。

 物納申請件数は、バブル崩壊後の1990年度以降、地価の下落や土地取引の停滞などを反映して著しく増加した。それまで年間400~500件程度に過ぎなかったものが、バブル期の地価急騰及びその後の地価急落で、路線価が地価を上回る逆転現象が起こり、土地取引の減少から土地を売ろうにも売れず、90年度に1238件、91年度に3871件、そして92年度には1万2千件台まで急増した。

 しかしその後は、事前に相続税額を試算して納税準備をするなど相続開始前から納税対策を行う納税者が増えたことなどから、99年度以降は年々減少している。2009年度は2年連続の増加となったが、ここ3年間は89年度(515件)以来の1千件割れが続いている。2009年度の申請件数はピーク時92年度(1万2778件)の約6%、金額でも同じくピーク時92年度(1兆5645億円)の約4%まで減少している。

 一方、処理状況をみると、前年度からの処理未済を含め914件、金額で912億円を処理した。件数は前年度比3.9%増、金額も同10.5%増となった。年度末での処理未済件数は、前年度より27.6%減の490件、金額では39.7%減の392億円となった。処理の内訳は、全体の8割近い711件が許可されて財務局へ引き渡され、物納財産として不適格として54件が却下、残りの149件は納税者自らが物納申請を取り下げている。

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