2010年07月12日-1
年金払い型死亡保険の最高裁判決で野田財務相が方針

 7月6日付最高裁判決において、年金の各支給額のうち相続税の課税対象となった部分については、所得税法9条の規定により所得税の課税対象とならないと判示され、遺族が年金形式で受け取る生命保険に対する所得税の課税が取り消されたが、翌7日付けの国税庁ホームページで、野田財務大臣が「今般の最高裁判決については謙虚に受け止めて、そして適正に対処していきたい」旨のコメントを掲載、以下の方針を発表した。

 判決を受け野田財務相は、「これまでのいわゆる解釈を変更することになるが、そういう変更をして、そして過去5年分の所得税については更正の請求を出していただいた上で、それを経て減額の更正をするという形の対処をしていきたい」とした。しかし問題は、現行法では還付が認められない5年を超える部分である。5年を超える部分の納税の救済については、国税通則法の時効との関係で、制度上の対応が必要になる。

 このため、「法的な措置が必要なのか、政令改正で済むのか、子細に検討して対応する」とともに、生保年金以外に相続をした金融商品で、今回の判決を踏まえて対応あるいは改善が必要なものもあるかもしれないとして、「具体的には政府税調の中で議論をして来年度の税制改正で対応するということも視野に入れていきたい」とした。しかし、過年分の資料が生保各社に残っているかどうかなど、技術的な問題もある。

 国税庁では、上記方針を踏まえ、これまでの法令解釈を変更し、所得税額が納めすぎとなっている納税者の過去5年分の所得税につき、更正の請求を経て、減額更正を行い、返還することとなる。現在、判決に基づき、課税の対象とならない部分の算定方法などの検討を進めており、具体的な対応方法については、対応方法が確定次第、同庁ホームページや税務署の窓口などにおいて、適切に広報・周知を図っていく方針だ。

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