2010年07月08日-2
個人が政党・政治資金団体への寄附金に有利不利が

 7月11日の参議院選挙がいよいよ間近となった。消費税問題が争点としてクローズアップされているが、「政治とカネ」の問題もまさに永遠の争点の一つといえる。ところで、個人が政党・政治資金団体に寄附をした場合、所得控除(寄附金控除)と税額控除(政党等寄附金特別控除)の2種類の控除方法があり、いずれか有利なほうを選択できることになっている。その有利不利の分岐点は――。

 基本的には、課税所得が900万円以上なら所得控除(寄附金控除)、900万円未満なら税額控除(政党等寄附金特別控除)が有利になる。所得控除によって減少する所得税額は「(政治献金した額-2000円)×限界税率」で、税額控除によって減少する所得税額は「(政党等に対する寄附金の額-2000円)×30%」となる。したがって、献金をする人に適用される限界税率が30%より大きければ(例えば33%、40%)所得控除が有利になる。

 逆に、30%より小さければ(例えば10%、23%)税額控除が有利。これは、所得税に超過累進税率が行われているためで、課税所得金額が695万円以上899万9000円以下なら33%の税率が適用され、課税所得金額が900万円を境に有利不利が分かれることになる。ただ、所得控除(寄附金控除)をした結果、課税所得金額が900万円を割り込む場合には、限界税率そのものが下がるため、実際には900万円より少し上が分岐点になる。

 ところで、確定申告で政党等寄附金特別控除の適用を受けている人が、後日、寄附金控除のほうが有利だったとして更正の請求をして寄附金控除への選択替えをできるのだろうか。答えはNO。更正の請求は、税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかった場合またはその計算に誤りがあった場合にすることができるもので、適正な計算に基づく申告での有利不利では認められない。事前のチェックがくれぐれも大切となる。

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