2010年07月05日-1
注目の共通番号制度で政府検討会が中間とりまとめ

 政府の「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会」(会長・菅首相)が6月29日、中間とりまとめとして、国民の所得状況などを把握できる共通番号制度の原案を公表した。番号制度について、(1)徴税や所得の把握など税務のみに限定したドイツ型、(2)税務と年金保険料の徴収、年金支払いなど社会保障にも使うアメリカ型、(3)住民登録など幅広い分野に活用するスウェーデン型――の3案を提示している。

 また、共通番号を幅広く使うことについては「個人情報の保護の観点から慎重な検討が必要」とも指摘。税務と社会保障分野で使う米国型が望ましいとの考えをにじませた。さらに、米国型の社会保障分野での利用については、所得に応じた年金給付の実現など現金給付だけに役立てる案と、自分が受けた医療や介護サービスの履歴を把握できるといった社会保障サービスにも広げる2案が示されている。
 
  具体的な方式としては、住基ネットに新たな番号を付す形が、プライバシー保護と導入コストの観点からも有力との考えを示した。費用は約6000億円が見込まれている。他に基礎年金番号の活用、住基ネットの番号をそのまま使う案も提示されている。番号制度が実現すれば、菅首相が消費税率の引上げに合わせ、低所得者の負担軽減策として必要性を指摘している、給付付き税額控除を導入しやすくなる。

 さらに、年金受給資格があるにもかかわらず、保険料の支払履歴などの不備で年金がもらえないといった問題を未然に防ぐ効果も期待できる。納税者番号制度の導入を巡っては、これまでも様々な議論がなされてきたが、実現には至らなかった。菅首相も「国民から意見を募った上で、年内に具体案をまとめる」と改めて国民各層から意見を聞くこととしている。いずれにしても、導入までには3、4年かかり、実現は2014年度以降になる。

 同中間とりまとめの概要は↓
 http://www.npu.go.jp/policy/policy03/pdf/20100629/20100629_syakaihosyou_6_haihu.pdf

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