2010年06月28日-2
経産省、社外役員の基準緩和など会社法見直し提案

 経済産業省はこのほど、わが国企業の競争力を強化し、資本市場を活性化させるという観点から、今後の企業法制の見直しについて意見を取りまとめ、法務省の法制審議会会社法制部会に提出した。意見は、(1)企業の組織再編・M&A(合併・買収)の支援、(2)グループ総合力を生かした経営の推進、(3)コーポレート・ガバナンス向上による「変化対応力」強化の3つを、大きな見直しの柱として提示した。

 (1)では、自社株を対価とするTOB(株式公開買付け)の利用促進を提案。現行法上も株式を対価とするTOBは可能だが、手続きが複雑で法的リスクも大きく、ほとんど利用されていない。また、金銭を対価とすると、一時に多額の現金の資金調達が必要となり、会社財産が流出してしまう。そこで、手続きの簡略化・リスク軽減を図り、わが国企業にある消却されていない十数兆円の金庫株をM&Aに活用したい考えだ。

 (2)では、法人選任取締役制度の創設を提案。グループ経営を行うため、親会社から子会社に取締役を派遣する場合、現行法上、選解任にあたり個々の子会社の総会決議が必要となるなど、手続きが煩雑であり、また、グループ経営の責任の所在が不明確だ。そこで、「法人選任取締役」制度を創設し、同取締役の変更には個別の総会承認を省略するなど手続きを簡便化するメリットを与えるとともに、責任の所在を明確化する。

 (3)では、社外役員・独立役員の要件を見直し、その導入を容易化することを提案。現行法上の社外の要件は、過去一度でも業務執行取締役等に就任していないこととされ、上場規則における独立性の要件もこれと同様だが、この規定を諸外国のように、役員経験者などでも数年間の冷却期間を経れば、社外・独立役員に選任できるようにして人材の幅を拡大したい考えだ。

 そのほか、企業において取締役会から執行機能または監督機能を分離・分掌させることに高いニーズがあるが、会社法上、そのニーズに対応する機関設計とはなっていない。そこで、機関類型の選択にかかわらず指名・報酬その他の委員会を任意に設置可能とすることで、執行と監督の分離分掌を促進する。また、社外が過半数を占める委員会を設けた場合には総会決議事項を委員会決議とするなど、メリットを拡大することを提案した。

 同意見の全文は↓
 http://www.meti.go.jp/press/20100623008/20100623008-3.pdf

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