2010年06月24日-2
税調専門家委が「議論の中間的な整理」を公表

 政府税制調査会の専門家委員会(神野直彦委員長)は22日、税制調査会の要請を踏まえ、「80年代以降の内外の税制改革の総括」のテーマについて、3月から4月にかけて議論を行ったが、各委員から出された意見等を基に議論の概要をまとめ、公表した。「80年代以降の内外の主な税制改革とその評価」、「税制抜本改革を進める上での課題と考え方」の2点につき議論を整理している。

 これまでの税制改革は、少子高齢化社会に対応するため社会共通の費用を広く薄く分かち合うという考え方の下、直接税中心から所得・消費・資産等のバランスのとれた税体系へというものだった。しかし、経済成長が低水準で推移するなか、歳入面では数次の所得税減税や景気後退等で税収が減少、 歳出面では社会保障支出が増加、財政は危機的な状況に陥り、現政権に引き継がれた債務残高は主要先進国に例のない水準となった、と指摘。

 このため、(1)再分配機能の回復、(2)将来の人口構造と社会保障制度の安定的な財源確保、(3)経済成長と税制、(4)地域主権を確立するための税制、(5)納税者の納得・理解、(6)全体として整合性のある税制抜本改革、を行い、個人所得課税、法人課税、消費課税、資産課税等の税制全般にわたる税制の抜本的な改革を行って、「支え合う社会」の実現に必要な費用を国民の間で広く分かち合う必要があるとしている。

 具体的な施策として、累進構造を回復させる改革を行って税制の再分配機能を取り戻すとともに、社会で広く分かち合う消費税は重要な税目であるとしている。また、社会保障など地方行政を安定的に運営するための地方消費税の充実など、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系の構築が必要とも指摘。いずれにしても、税制をどう改革するのかを、スケジュールとともに国民に明示すべきとしている。

  同「中間的な整理」の全文は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/pdf/22zen2kai3.pdf

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