2010年06月24日-1
09年度税務訴訟の納税者勝訴割合は前年度から半減

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する異議申立てや国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、さらには訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所が21日に公表した不服の申立て及び訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2009年度)の税務訴訟での納税者勝訴割合は5.0%と前年度の10.7%から半減したことが分かった。

 異議申立ての発生件数は、徴収関係(13.5%増)や相続税・贈与税(23.5%増)は増加したが、その他は軒並み減少し、全体では前年度から10.5%減の4795件となった。処理件数は、「取下げ」891件、「却下」806件、「棄却」2709件、「一部取消」525件、「全部取消」66件の合計4997件。納税者の主張が一部でも認められたのは591件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を3.0ポイント上回る11.8%だった。

 税務署の処分を不服とする国税不服審判所への審査請求の発生件数は、申告所得税(17.7%減)、相続・贈与税(1.1%減)は減少したが、消費税(47.9%増)などが増加し、前年度から14.8%増の3254件だった。処理件数は、「取下げ」285件、「却下」304件、「棄却」1620件、「一部取消」241件、「全部取消」143件の合計2593件だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は14.8%で、前年度より0.1ポイント減となった。

 一方、訴訟となった発生件数は、所得税(12.8%増)、審判所関係(50.0%増)に係る事件が増加したものの、法人税(13.2%減)、相続・贈与税(25.0%減)、消費税(22.2%減)などが減少したことから前年度を4.5ポイント下回る339件。終結件数は、「取下げ」38件、「却下」14件、「棄却」252件、「国の一部敗訴」8件、「同全部敗訴」8件の合計320件。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は5.0%と、前年度に比べ5.7ポイント減少した。

 このように訴訟における納税者勝訴割合は半減し、あくまでも結果論だが、納税者には厳しい結果となった。ただし、全体でみると、2009年度中に異議申立て・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計7910件のうち991件で、その割合は12.5%と、前年度に比べ1.6ポイント増加している。異議申し立てにおける救済割合の増加が要因とみられる。

 不服の申立て及び訴訟の概要は↓
 http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2010/fufuku/index.htm

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