2010年06月23日-1
生産性本部、15年度までに法人税25%にと提言

 日本生産性本部は18日、「経済成長と財政規律の両立を目指して」と題した提言を発表し、消費税率を15%に引き上げ、法人課税の実効税率を25%に引き下げて、経済成長と財政規律の両立を図ることが不可欠との考えを示した。また、これらの改革を実現するために、2014年度には国民のあらゆる側面で活用できる形での共通番号を導入すべきとした。この提言は、今月8日に成立した菅新内閣が取り組むべき政策をとりまとめたもの。

 提言では、海外企業が日本に投資しやすくすることは、国内投資を増大させることにつながるとの観点から、法人税率を近隣諸国や先進国の平均並みに現在の30%から25%に早急に引き下げることを求めた。さらに、都道府県や市町村の法人課税を原則廃止し付加価値税化を図ることにより、2015年度までに法人課税の実効税率を現行の約40%から約25%に引き下げるべきだと主張している。

 一方、構造的赤字体質からの脱却問題はもはや先送りすべきではないとして、雇用創出やデフレ脱却など当面する経済対策をとった上で、団塊世代が65歳に到達する2015年度までに抜本的な税財政改革を行ってわが国の経済活力を蘇生させるべきであると指摘。構造的ともいえるプライマリー・バランス(基礎的財政収支)の赤字を高齢世代にも負担を求められる消費税増税により賄うべきだと主張している。

 具体的には、2012年度に5%引き上げ、2015年度にさらに5%の引上げを実施し、高齢化のピーク(2025年度)を迎える前に、公債発行残高の対GDP比の削減を目指すべきだとした。消費税率を2023年度までに15%とすれば2021年度から基礎的財政収支は黒字に転ずるとしている。もちろん、2015年度の消費税の引上げ時からは、その逆進性に対する配慮として、定額の還付方式の導入も実施すべきとしている。

 なお、こうした改革を実現するために、2014年度までに国民のあらゆる側面で活用できる形での共通番号を導入することを提言。現在、日本には基礎年金番号、住民票コード、納税者整理番号など、統一的な番号制度が複数存在しているが、関係省庁ごとの予算請求により、膨大な重複投資が行われてきたと指摘。これらの投資を無駄にせずに統合して、2014年度までに国民生活の利便性を高める共通番号制を確立すべきだと主張している。

 同提言の全文は↓
 http://activity.jpc-net.jp/detail/01.data/activity000984/attached2.pdf

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