2010年06月21日-3
日税連の2011年度税制改正に関する建議書決まる

 日本税理士会連合会(池田隼啓会長)の2011年度税制改正建議書が決まった。建議は、税務に関する専門家として納税者の立場に立ち「税制に対する5つの視点」、「税制建議項目」、「中長期的な視点からの検討項目」から成り、まず5つの視点では「公平な税負担」、「理解と納得のできる税制」、「必要最小限の事務負担」、「次代に適合する税制」、「透明な税務行政」を掲げている。

 税制改正建議項目は全25項目。主なものは「給与所得者に対する課税のあり方を見直す(高額給与所得者の給与所得控除について、一定限度額を定める。給与所得者に対する課税については、年末調整と確定申告との選択性とする。特定支出控除を拡充し給与所得者が確定申告を行う機会を増やす)」、「所得控除を整理・簡素化する」。また「不動産所得に係る損益通産を制限する特例措置は、早急に廃止する」ことを要望している。

 法人税関係では、「中小法人等に対する軽減税率適用の対象となる所得金額を引き上げ、青色欠損金額の繰越控除期間を延長する」など。資産課税では「取引相場のない株式等の評価の適正化を図る」、「相続税の連帯納付義務制度を廃止する」など。消費税関係では「基準期間制度を廃止する」。地方税関係では「外形標準課税制度は資本金1億円以下の中小法人には導入しない」。その他「納税者権利憲章(仮称)を制定する」など。

 中期的な視点からの検討課題では、「法人税の課税ベース拡大と税率引下げ」、「消費税の改正」、「番号制度の導入」、「国税・地方税の申告納税の一元化」、「配偶者の就労を阻害している制度の見直し」の5項目を取り上げている。特に消費税問題については、税率引上げに際しては税体系全体のあり方についての検討が必要であり、同時に歳出の見直しや行政の合理化を図るなど、国民の理解を得ることが重要、としている。

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