2010年06月21日-2
09年度査察は約6億円減の290億円の脱税把握

 いわゆるマルサと呼ばれる査察は、脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査され検察当局に告発されて刑事罰の対象となる。国税庁が17日に公表した今年3月までの1年間の2009年度査察白書によると、査察で摘発した脱税総額は前年度を約6億円下回る290億円だった。検察庁に告発した件数は前年度より4件少ない149件だったが、告発分1件あたり平均の脱税額は同800万円増の1億7100万円と、2年ぶりに増加している。

 2009年度1年間に全国の国税局が査察に着手した件数は213件(前年度211件)、継続事案を含む210件(同208件)を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)し、うち71.0%(同73.6%)にあたる149件を検察庁に告発した。告発事件のうち、脱税額(加算税を含む)が3億円以上のものは前年度を3件上回る17件、脱税額が5億円以上のものは前年度を1件下回る6件だった。

 近年、脱税額3億円以上の大型事案が減少傾向にあり、2009年度の脱税総額290億円は、ピークの1988年度(714億円)に比べ4割まで減少している。告発分を税目別にみると、「法人税」が前年度から13件減の84件ながら全体の57%を、脱税総額でも同18.4%減の約152億円で60%を占めた。所得税は4件減の36件、約54億円のほか、消費税は6件増の18件、約20億円、相続税は過去5年間で最多の6件、約19億円だった。

 告発件数の多かった業種・取引(5件以上)は、「不動産業」が15件、「鉱物・金属材料卸」が11件、「建設業」が9件、「商品・株式取引」が8件など。脱税の手口としては、不動産業では、取引で得た利益を全く申告しないもの、鉱物・金属材料卸、商品・株式取引及び不動産譲渡では、売上除外、建設業では架空の原価計上、キャバレー・飲食店では従業員等から徴収した源泉所得税を不納付とするものなどの脱税が目立った。

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