2010年06月21日-1
中小企業者等に生きている欠損金の繰戻し還付

 青色申告法人の欠損金については、欠損事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度の所得に対する法人税の繰戻し還付をすることができるが、1992年4月1日から2010年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金については、解散、事業の全部または更正手続きの開始等の事実が生じた場合を除いて、繰戻し還付制度は停止されていた。

 ところが、2009年度税制改正で不適用措置の対象から中小企業者等が除外され、2009年2月1日以後に終了する各事業年度に生じた欠損金額について、繰戻し還付が受けられることとなっている。中小企業者等の範囲は、「資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下」、「公益法人等または協同組合等」、「法人税以外の法律によって公益法人等とみなされるもの」、「人格のない社団等」とされている。

 繰戻し還付の仕組みは、その事業年度で生じた欠損金額を、その欠損事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度の所得金額(還付所得事業年度)に繰り戻し、その還付所得事業年度の法人税の全部または一部の還付請求をするというもの。これを計算式で示すと、「還付請求できる金額」=「還付所得事業年度の法人税額」×「欠損事業年度の欠損金額」/「還付所得事業年度の所得金額」(分母の金額を限度とする)。

 手続要件は、(1)還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色確定申告書を提出している、(2)欠損事業年度の青色確定申告書を期限内に提出している、(3)欠損事業年度の確定申告書の提出と同時に「繰戻しによる還付請求書」を提出している、の3点。2010年度税制改正により、適用期限が2012年3月31日まで延長されているので、前事業年度赤字の中小法人は検討してみる価値があろう。

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