2010年06月14日-3
TOBによるみなし配当課税廃止で経過措置

 上場会社が公開買い付けの方法(TOB)により自己株式を購入する場合には、これに応じた個人株主に対して「みなし配当」課税をせずに、譲渡所得課税が行われるという特例措置が設けられている(措置法9の6)が、2010年度税制改正で、2010年12月31日(改正前2010年3月31日)まで適用する措置及び経過措置を講じた上で、廃止されることとなった。いわば“寿命”が9ヵ月延びたわけだ。

 TOBとは、不特定多数の株主から市場を通さずに株式を買い取る方法で、企業買収、上場企業による関連会社の子会社化及び自己株式の償却の際に行われ、一時、ブームになったのは記憶に新しいところ。なお、この制度により1/3超の株式及び新株予約権を買い付ける場合には、株主に売却の機会を公平に与えるために、予め買い付け価格、買い付け期間及び買い付け株式等を公表しなければならない。

 上場会社等が、1995年11月17日から2010年12月31日までの期間内にTOBにより自己株式の取得をした場合に、株の譲渡に応じた個人株主が交付を受ける金銭等の額がその発行法人の資本金等のうち、その交付の基因となった株式に対応する部分の金額を超える部分の金額については、みなし配当課税を行わず、株式等に係る譲渡所得の収入金額とみなして譲渡所得等の課税の特例を適用することとされている。

 特例廃止に伴い、源泉徴収義務等につき、次の経過措置が講じられている。(1)自己株式の公開買い付けの場合のみなし配当に係る大口株主の判定の基準日を、その公開買い付けの終了の日とする。(2)みなし配当のうち上場株式等の配当等に該当するものの支払をする内国法人は、その配当等の支払事務取扱者である金融商品取引業者に対し、そのみなし配当等の発生の基因となった事由、みなし配当の額等を通知しなければならない。

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