2010年06月14日-1
活用したい居住用財産の買換等の譲渡損失の繰越控除

 個人が、譲渡の年の1月1日において所有期間が5年を超える居住用財産の譲渡をした場合、譲渡した年の前年の1月1日から譲渡年の12月31日までの間に買換資産を取得し、かつ、取得をした年の翌年12月31日までの間に居住の用に供したときまたは供する見込みであるときは、譲渡により生じた居住用財産の譲渡損失の金額について、損益通産をしても、なお控除しきれなかった損失があるときは、翌年以降3年間の繰越控除ができる。

 適用要件は、(1)繰越控除を受けようとする年の年末において買換資産に係る住宅借入金の残高があること(金融機関から借り入れたもので、償還期間が10年以上のもの)、(2)繰越控除の適用を受けようとする年分の合計所得金額が3000万円(給与収入の場合約3336万円)以下である場合、の2点。この特例は、2010年度税制改正で、2011年12月31日まで2年延長されている。

 同制度の魅力は、共有の居住用財産を譲渡した場合、共有者の持分の範囲内において各人ごとに適用できること。さらに、2004年度改正で「譲渡契約の前日に譲渡資産に係る住宅借入金等の残高を有していること」という要件が廃止され、すでにローンが完済している、あるいはキャッシュで購入した場合などでも損益通産・繰越控除の適用ができるなど、実務上の活用範囲が拡大している。

 また、同制度の特例を受ける場合でも住宅ローン控除制度との併用も認められる。しかし、いいこと尽くめではない。譲渡をする相手が、譲渡者の配偶者や親・子などの直系血族、生計を一にする親族あるいは同族会社等でないことが必要。さらに、買換資産家屋は床面積50平方メート以上、土地の場合は500平方メートル以下でなければならないので注意が必要だ。

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