2010年06月09日-1
特定地域再生事業会社がエンジェル税制から除外

 ベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行うのが「特定中小会社が発行した株式に係る課税の特例」制度。いわゆるエンジェル税制だ。ベンチャー企業に対して、個人投資家が投資を行った場合、投資時点と売却時点のいずれの時点でも税制上の優遇措置を受けることができるが、2010年度改正で、特定中小会社の範囲から地域再生法に規定する特定地域再生事業会社が除外されているので要注意だ。

 特定地域再生事業会社とは、医療、福祉、地域交通など、従来、公的主体が担っていた事業分野やリサイクル、新エネルギーなどの環境負荷の低減、地場産業支援のための試験研究、商品開発、販路拡大などの促進といった政策的意義が高いものの、収益性の観点から民間事業者の積極的参入が期待できない事業分野について、地域再生に資する経済的社会的効果の高いものとして民間からの投資を促進することを目的とした事業会社だ。

 しかし、2010年4月1日以前に払込みにより取得をした特定株式につては、従前どおり優遇措置が受けられる。その優遇措置だが、次の(1)または(2)が選択できる。(1)「ベンチャー企業への投資額-2000円」を、その年の総所得金額から控除(控除対象となる投資額の上限は、総所得金額×40%と1000万円のいずれか低い方)、(2)ベンチャー企業への投資額全額をその年の株式譲渡益から控除(控除対象となる投資額の上限なし)。

 さらに、未上場ベンチャー企業株式の売却により生じた損失を、その年の他の株式譲渡益と通算(相殺)できるだけでなく、その年に通算(相殺)しきれなかった損失については、翌年以降3年にわたって、順次株式譲渡益と通算(相殺)ができる。また、ベンチャー企業が上場しないまま破産、解散等をして株式の価値がなくなった場合にも、同様に翌年以降3年にわたって損失の繰越ができる。まだまだ魅力のある制度である。

ウィンドウを閉じる