2010年06月07日-1
7月から私的整理開始でも共済金の貸付可能に

 中小企業倒産防止共済制度については、今年4月21日に中小企業倒産防止法の一部改正法が公布されているが、このほど、同改正法による制度改正の一部(共済事由の拡大)について、具体的な改正内容と時期が政省令改正で定められた。具体的には、取引事業者が私的整理を行う場合も「倒産」とし、共済金の貸付が受けられるようになる。本年7月1日以降の私的整理から貸付の対象となる。

 中小企業倒産防止共済制度は、取引先が倒産した場合、積み立てた掛金総額の10倍を限度に、無利子・無担保・無保証人で貸し付け、中小企業の連鎖倒産を防止する制度。今回の政省令改正では、共済金の貸付を受けることができる場合について、これまでの取引先の法的整理手続き(破産、会社更生、特別清算、民事再生)や手形取引停止処分に加え、弁護士等が関与する私的整理の一部が追加された。

 注意が必要なのは、私的整理の全てが対象ではないことだ。取引先から売掛金債権等の債務整理の委託を受けた弁護士や弁護士法人、認定司法書士、簡裁訴訟代理等関係業務を目的とする司法書士法人から、「書面によってする支払いを停止する旨の通知(支払停止通知)」があった場合を対象とする。認定司法書士とは、訴訟の目的となるものの価額が140万円を超えない請求事件訴訟等について代理業務が行える司法書士となる。

 なお、共済事由の拡大以外に、次のように貸付限度額などの拡大も行われる。(1)共済金の貸付限度額:3200万円→8000万円、(2)掛金の積立限度額:320万円→800万円、(3)掛金月額上限:8万円→20万円、(4)償還期間の上限:5年→10年(貸付額に応じて設定)、(5)早期償還手当金の創設、(6)申込金の廃止。これらの改正の実施時期等は、2011年10月までに順次政令及び経済産業省令等で定められるため、注視しておく必要がある。

 これらの掛金は、法人は損金に、個人事業者は必要経費に算入できる。法人が掛金を損金として算入するには、『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』に必要事項を記入し、確定申告書に添付しなければならない。明細書は、税務署で受け取れる。個人事業主の場合は、任意の用紙に『中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書』を作成し、確定申告書に添付すればよい。

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