2010年06月03日-2
居住用財産の買換え・交換特例に2億円のカベ現出

 特定のマイホーム(居住用財産)を2009年12月31日までに売って、代わりのマイホームに買い換える、あるいは交換したときは、一定の要件の下で、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができるのが「特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例制度」。2010年度改正において、この特例の適用期間が2011年12月31日まで、2年間延長された。

 課税の繰延べといっても、譲渡益が非課税となるわけではない。例えば、1000万円で購入したマイホームを5000万円で売却し、7000万円のマイホームに買い換えた場合には、通常の場合、4000万円の譲渡益が課税対象となるが、特例の適用を受けた場合、売却した年分で譲渡益への課税は行われず、買い換えたマイホームを将来譲渡したときまで譲渡益に対する課税が繰り延べられるということになる。

 適用要件は、譲渡資産は、譲渡者が10年以上居住の用に供していた家屋またはその敷地で国内にあるもの。また、前記の家屋で、譲渡者が居住の用に供しなくなったもの、あるいは家屋が災害により滅失した場合、引き続き所有していたなら譲渡年の1月1日で所有期間が10年超える敷地であること。買換資産は、居住部分の床面積が50平方メートル以上、敷地面積が500平方メートル以下などの要件がある。

 2010年度改正で、この譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円以下であることという要件が追加された。つまり、大口の譲渡価額については特例の適用が認められなくなった。特に、都心の一等地の居住用財産の買換え・交換は要注意となる。今年(2010年)1月1日以後の譲渡について適用されている。この2億円要件を念頭に入れ、2011年末までに買換え・交換計画を立てるようお勧めしたい。

ウィンドウを閉じる