2010年06月02日-1
スイスとの租税条約を改正する議定書に署名

 日本国政府とスイス連邦政府との間で「所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書」が署名された。この改正議定書は、租税に関する国際標準に基づく課税当局間の情報の交換を可能にするものであり、G20等で重要性が確認されている国際的な脱税及び租税回避行為の防止に資することとなり、両国間の投資・経済交流を一層促進することが期待される。

 両国政府は2008年11月に正式交渉を開始し、2009年6月に改正議定書案について基本合意に達した(6月26日公表)。その後、詳細な条文の確定作業を経て、署名に至ったもの。さらに、両国において国内手続き(わが国においては国会の承認を得ることが必要)を経た後、その国内手続きの完了を通知する外交上の公文の交換の日の翌日から30日目の日に効力を生じることとなる。

 この改正議定書における適用関係は次のとおり。(1)源泉徴収される租税に関しては、効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に租税を課される額、(2)源泉徴収されない所得に対する租税に関しては、効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の所得、(3)その他の租税に関しては、効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の租税、となっている。

 これにより、両国の課税当局間において、租税に関する国際標準に基づく情報の交換を実施できることとなり、銀行機密に関する情報についても交換が可能となる。また、投資所得(配当、利子、使用料)について、投資先の国における課税を軽減または免除するとともに、条約の特典の濫用による租税回避行為のおそれが増大することから、これを防止するための規定等も設けている。

 それは、条約の特典を受けることができる者を一定の要件を満たす者に限定する「特典の制限に関する規定」及び投資所得に関して、取引の形態や目的に照らしてその取引が条約の特典の濫用と認められる場合には、条約の特典を認めないこととする「条約の特典の濫用のための取引と認められる取引に関する規定」の2つ。そのほか、両国間で課税上の取扱いが異なる団体に関する規定などを設けている。

 同議定書の全文は↓
 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/sy220521sw_a.pdf

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