2010年05月31日-2
特例対象株式の譲渡時期は市場動向を注視し売却を

 居住者等が2001年9月30日以前から引き続き所有していた上場株式(同年10月1日に該当した一定のもの。以下「特例対象株式」という)を2010年12月31日までの間に譲渡した場合には、選択により、その特例対象株式の譲渡所得の金額の計算上控除する取得費の金額を、2001年10月1日における価額の80%相当額として計算できる(措置法37の11の2)。その適用期限が、あと半年に迫っている。

 特例対象株式の譲渡を計画している人は、みなし取得費と実際の取得費とを比べ、有利なほうを選択する利点があるが、10年も前の株の取得費などは、普通分からない、とあきらめてしまうものだが、確認方法はある。まず、一番簡単な方法は「証券業者から送付された取引報告書があるか?」。次に「取引した証券会社の『顧客勘定元帳』があるか?」。過去10年以内のものであれば、証券会社で確認可能だ。

 これでもダメなら「ご本人の手控えがあるか?」。日記帳及び預金通帳によって取得価額が確認可能かもしれない。さらに、究極の手段が「名義書換日を調べて取得価額を把握できるか?」。保有株券の裏面及び株主名簿・複本などで「その取得時期の相場」を証券会社のデータベースまたは当時の新聞記事等の統計情報で確認が可能なのである。確認できれば、取得価額×80%のみなし取得費と本来の取得費が比較できる。

 2001年9月30日以前に取得した「特例対象株式」の取得費の特例は、2010年度税制改正で2010年12月31日の適用期限をもって廃止される(改正措置法附則62)。取得費が高いほうが、当然、譲渡益が小さくなるわけで、みなし取得費を適用して特例対象株式の譲渡を予定している人は、株式市場の動向を注視しながら2010年の中で売却時期を決める必要があるだろう。

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