2010年05月24日-1
小規模宅地の特例の適用は慎重に!!

 2010年度税制改正は、実は非常にキメの細かい改正が行われたが、相続税における小規模宅地の評価減額の特例はまさにその典型だ。改正点は「相続人等が相続税の申告期限まで事業または居住を継続しない宅地等を適用対象から除外する」。これは、事業用宅地等で相続人等が申告期限までに事業を継続しない場合及び居住用宅地等で相続人等が居住を継続しない場合は特例の適用が受けられなくなるもの。

 具体的には、改正前は事業用宅地等の場合、事業非継続でも上限面積200平方メートル、軽減割合50%が適用され、また、居住用宅地等の場合も、居住非継続でも上限面積200平方メートル、軽減割合50%が活用できた。事業継続または居住継続とは、相続税の申告書の申告期限(相続開始があったことを知った日から10ヵ月以内)まで事業または居住を継続することをいう。

 例えば、被相続人と生計を一にする親族の事業の用に供されていた宅地等について、被相続人が所有していた宅地等を、事業承継する親族が取得し、申告期限まで事業を継続していれば、上限400平方メートルにつき80%評価減が適用され、事業継続を行わない場合も200平方メートル、50%減額が受けられたが、今回の改正で申告期限までに事業を中止した場合は一切評価減額の特例は受けられない。

 居住用宅地等についても、例えば200平方メートル、評価額2億円の宅地を配偶者が1/10、同居していない長男が9/10の持分で共同相続した場合、改正前なら長男の取得分も含め2億円×80%=1億6000万円が減額されていたが、今回の改正により、配偶者の取得した宅地のみが評価減対象となり、2億円×1/10×80%=1600万円となる。同居していない長男はまったく軽減されない。申告期限までの10ヵ月間、じっくりと検討が必要だ。

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