2010年05月19日-1
愛知県高浜市、市民予算枠事業に市民税の5%を投入

 愛知県高浜市は、今年4月から個人市民税収の5%を「市民予算枠」として、市民と協議・検討し、小学校区単位の課題解決や、地域の「やりたい」という想いをかなえるための事業に税の使いみちを決める新しい制度をスタートさせた。市税に対する納得度と住民自治の質を高めることがねらい。高浜市は人口約4万5000人で、2008年度の住民税収入は38億4000万円ほど(法人分含む)。

 高浜市では、2005年から地域内分権に力を注いできて、現在では市内全域の5つの小学校区に、各地域の課題に対し住民自らが取り組んでいく「まちづくり協議会」が活発に活動している。また、同年より「高浜市まちづくりパートナーズ基金」制度を設け、市民公益活動を支援してきたが、「市民予算枠事業」は、これら2つのシステムがより効果的になり得る体制をとり、より多くの市民が参画できるようになると期待している。

 市民予算枠は、(1)まちづくり協議会や町内会などの地域団体が課題解決のために使う「地域内分権推進型」、(2)2006年からスタートしている、市全体の問題解決のために使う「協働推進型」、(3)市全体の利益や課題解決につながる実行可能なプランに支出する「市民提案型」、の3つのタイプの事業に活用する。個人、団体などから提案された事業案は、6月の公開審査を経て決定される予定になっている。

 全国の自治体では、独自減税や税の使途に市民決定権を与える動きが活発化している。名古屋市の市民税10%減税、市民税の1%を応援したいNPOの活動に支援できる千葉県市川市の「1%支援制度」、基金を積み立てて財政のダムをつくり将来的に住民税をゼロにしようとする東京都杉並区の「減税自治体」構想などがある。いずれも首長のリーダーシップで実現し、住民の支持を得ている。

 これまでのまちづくりや福祉、教育といった分野ではなく、税政策が首長の評価を高める時代になっていることを示すものといえそうだ。

ウィンドウを閉じる