2010年05月17日-3
10年以内に10~15%の消費税率引上げ必要~関経連

 財政再建に向けて安定財源としての消費税の拡充を強く訴えたのは、関西経済連合会が12日に公表した「中長期的な税財政のあり方に関する意見~持続的成長を実現するために~」と題した意見書だ。同意見は、「わが国の財政は極めて危うい状況にある。政府は徒に政権公約にこだわらず、『成長の実現』と『歳出歳入改革の実行』の両立による財政健全化の道筋を描き、その実現のための制度改革を具体化し実行に移すべきだ」とした。

 歳出歳入のための制度改革では、まず安定財源としての消費税の拡充を提言。財政再建、増加する社会保障支出に対し安定財源を確保するためには、消費税率の引上げは避けて通れないとしたうえで、早急に具体的な引上げ時期や幅についての議論を進めることを求めた。同会の試算では、財政健全化目標が達成可能となるためには、例えば2012年から10年以内に少なくとも10%から15%程度の引上げが必要だとみている。

 消費税率引上げに伴う低所得者への配慮や、格差縮小のためには、家族や就労状況などの形態に合わせた給付付き税額控除が有効との考えを示し、そのためには、税・社会保障に共通の番号制度導入の早急な実現を要望。そのほか、再分配機能の強化の観点からは、相続税の課税ベースの拡大などを、歳入確保の観点からは、所得税の給与所得控除への上限設定などを検討すべきだとしている。

 一方、成長に資する税制の構築のために、企業や地域の競争力強化に向けた法人実効税率の引下げを求めた。わが国の法人実効税率は世界でもトップクラスの高さにあり、税収に占める法人所得課税の割合も諸外国に比べて高いことから、諸外国並みの30%から25%程度まで法人実効税率を引き下げることによって、潜在成長率を高めつつ、わが国の企業や地域の競争力を高めていく必要性があるとしている。

 同意見の全文は↓
 http://www.kankeiren.or.jp/material/pdf/2009/100512ikenshozeizaisei.pdf

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