2010年05月17日-1
損金算入できる5千円以下の飲食交際費の有効活用

 企業会計上は間違いなく費用だが、法人税法上の課税所得の計算に当たっては原則損金不算入なのが交際費。資本金1億円以下の中小企業のみ“特例”として400万円という定額控除額が設けられ、支出交際費用の10%と定額控除限度額超過額の合計額が損金不算入とされるが、2006年度税制改正で1人当たり5000円以下の飲食費の損金算入が、資本金区分に関係なく適用されることとなり、その使い勝手の良さがウケている。

 適用要件は、本来交際費とされる飲食(社内の役職員だけの飲食を除く)であって、その費用の額が1人当たり5000円以下、そして、そのことを証する相手方出席者等の氏名や参加人数、飲食した店舗名等を記録した書類が保存されていること。飲食費の額が1人当たり5000円以下であるかどうかは、かかった費用の総額を参加人数で割り算するだけで、接待側については、明示義務はない。

 だからこそ、参加人数の正確な把握が同制度のポイントであり、税務調査においてもこの点の事実確認がされることはいうまでもない。例えば、コンパニオンまで人数に入れて5000円以下とするなどといった安易な発想は厳に避けたほうが賢明というもので、常に、その立証手段を講じておく必要がある。総会シーズンを控えたこれからの時期、それこそ有効に活用したいもの。

 また同制度は、同業者団体等の主催する懇親会等の費用を会員企業が負担した場合にも、その飲食費の総額を参加人数で割って、1人当たり5000円以下であれば、飲食交際費として会員各企業で損金算入が可能となる。しかし、参加人数を水増しして1人当たり飲食費を5000円以下になるようにした場合は、やはり重加算税の対象となる仮装行為となるので、くれぐれも注意が必要だ。

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