2010年05月10日-3
信託銀行が受領した賠償金の分配に対する扱いで回答

 A信託銀行が受託していた株式投資信託中に米国法人B社の社債で運用していたものがあったが、信託期間中にB社の経営破たんにより同社債の価値が下落し、償還後に米国の集団訴訟制度であるクラスアクションに参加、勝訴により受領し損害賠償金を信託の受益者に分配した場合、受益者が受領する分配金が株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額となると解してよいかとの事前照会に、東京国税局はその解釈で差し支えない旨回答した。

 さらに、同分配金の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算で、(1)株式等に係る譲渡所得等の収入金額の収入すべき時期は、本件株式投資信託の信託終了時の受益者への本件分配金の交付の日となる、(2)株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除する取得費または必要経費に算入する取得価額はない(零円で計算する)、(3)上場株式等に係る譲渡所得等に対する税率の特例措置(所得税7%、住民税3%)の適用があること、についても認めた。
 
  信託財産に属する財産の管理、処分、滅失、損傷その他の事由により受託者が得た財産は、信託財産に属するとされている。そして、この受託者が得た財産については、信託財産から生じて受託者が得た財産を意味し、信託終了後に訴訟参加し、その結果受領した損害賠償金であっても、その損害賠償請求権が信託財産に生じた損害に基づくものである場合には、信託財産に属すると解される。
 
  照会の場合の損害賠償金は、信託財産(B社社債)から生じた信託財産であり、損害賠償金について清算が結了するまでは、株式投資信託はなお存続していることになる。そして、株式投資信託の信託終了時の受益者に対し、その信託の約款に従って本件分配金の交付が行われ、その受益者が交付の最終計算を承認したときに、本件株式投資信託の清算が結了することになると解され、その全てが株式等に係る譲渡所得とされる、と同局は回答した。

 同回答の詳細は↓
 http://www.nta.go.jp/tokyo/shiraberu/bunshokaito/shotoku/100329/02.htm#besshi2

ウィンドウを閉じる