2010年05月10日-2
09年度紙巻たばこは4.9%減、値上げ前に消費減少

 日本たばこ協会がこのほど発表した2009年度の国内の紙巻たばこ販売実績によると、2008年度に2458億本だったたばこの消費量は、2009年度に2339億本と対前年比4.9%減少した。健康志向の高まりや公共空間での禁煙施策が浸透してきたことなどが主な理由とされる。だが、今後、それ以上にたばこ離れを招きそうなのは、2010年度の税制改正で決まり、10月1日から実施されるたばこ税の値上げだ。

 国税のたばこ税は、旧3級品以外の製造たばこは1箱あたり現在の71.0円から122.24円になり、たばこ特別税も加えれば174.88円から244.88円へと40%の大幅な税率アップ。地方のたばこ税についても、道府県税が21.48円から30.08円に、市町村たばこ税は65.96円から92.36円になる。この結果、1本あたり3.5円(国・地方それぞれ1.75円)が引き上げられ、販売価格にして1箱あたり100円程度値上がりする予定だ。

 一方、地方たばこ税は小売業者の事業所所在の市町村に納税されるので、自治体間で税収の帰属をめぐる問題も起こる。昨年11月には、大阪府泉佐野市にある1台のたばこ自販機が1年で14億円余の税収を同市にもたらしたことから問題になった。報道によれば、この自販機を所有する豊中市の小売業者は、佐野市が市内のたばこ販売に対する奨励金を支払う条例を創設したことから、商品発注の大半をこの自販機に集中させたという。

 この結果、2007年度に7億6000万円程度だった佐野市のたばこ税収は、2008年度に14億6000万円とほぼ倍増している。こうしたことから、政府税制調査会は、店舗・営業所・倉庫・居宅等で合計3万本以上のたばこを販売のために所持している場合には、税率の引上げ分に相当するたばこ税について申告納税する手持品課税を実施すると今回の答申に明記している。

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