2010年05月10日-1
法人が支払った損害賠償金の税務は注意が必要!

 法人の従業員が仕事中に事故を起こし、その賠償金を法人が負担することは少なくない。突然の交通事故は時と場所を選ばず、自分が被害者ではなく加害者になる可能性もある。サラリーマンが仕事中に起こした交通事故で他人を傷つけてしまうこともある。こうしたケースでは、会社が交通事故の被害者に対し損害賠償金を支払うことがあるが、この場合、損害賠償金の税務上の取扱いには注意が必要となる。

 従業員が仕事中に起こした交通事故で会社が損害賠償金を負担した場合の税務上の取扱いは、業務上の行為だったのか、さらに、故意または重過失があったのかどうかにより異なる。その損害賠償金の対象となった行為などが、会社の業務遂行に関連するもので、かつ、故意または重過失に基づかないものであるなら、支出した損害賠償金について、法人の経費処理を認め、本人の給与としないこととされている。

 使用者責任の範囲は、一応、従業員の業務上の行為とされているが、かなり広範囲に解釈されており、車を無断で使用して運転していたときの事故や、故意、無免許、酒酔いなどによる事故以外は使用者に責任があるとされている。したがって、従業員が仕事中に事故を起こし、その賠償金を法人が負担した場合は、税務上も、本人に重過失がない限り、給与以外の損金処理を認めているわけだ。

 一方、損害賠償金の対象となった行為などが、法人の業務遂行に関連するものであるものの、故意・重過失があったという場合には、その損害賠償金は従業員に対する債権となる。債権を放棄した場合は、本人の支払能力からみて回収不能の事情にあれば貸倒れに、そうでなければ給与として取り扱われる。また、法人の業務遂行に関連しないケースで損害賠償金を支払ったときも、同様に従業員に対する債権扱いとなる。

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