2010年05月06日-1
医療費控除の対象となる禁煙治療費

 2010年度税制改正でたばこ税の増税が決まった。1本あたり3.5円(国・地方それぞれ1.75円)が引き上げられ、販売価格にして1箱あたり100円程度値上がりする予定だ。増税は今年10月1日からの適用となる。愛煙家にとって、近年の喫煙環境が厳しくなっていることに加え、財布を直撃するこの増税を受け、いま愛煙家の間で「禁煙治療」への関心が高まっている。たばこ税の増税を機に「禁煙」を決意する人が増えているという。

 禁煙治療とは、医師の指導のもとでニコチン依存症を改善し、禁煙を実行していくもの。ニコチン依存症を放置すれば重大な合併症を引き起こすため、一定の禁煙治療については2006年4月から保険適用が認められている。保険適用の対象となるのは、(1)スクリーニングテストでニコチン依存症と診断された、(2)喫煙本数×喫煙年数が200以上、(3)禁煙治療についての説明を受け同意していること、のすべてを満たす人。

 また、保険適用での禁煙治療を行う医療機関側についても、(ア)禁煙治療を行っている旨を医療機関内にわかりやすく掲示していること、(イ)禁煙治療の経験を有する医師が1名以上勤務していること、(ウ)禁煙治療に係る専任の看護職員が1名以上勤務していること、(エ)治療のために呼気中一酸化炭素濃度測定器を設置していること、(オ)医療機関の施設内が禁煙であること、といった基準をすべて満たす必要がある。

 禁煙治療にかかる費用は保険適用で1万2000 ~1万7000円程度(3割負担として)。「医師による治療」であるため、自己負担分は医療費控除の対象だが、ニコチンガムなどの禁煙補助薬を医者からの処方箋がなく、薬局などで購入した場合には対象とならない。なお、前述の(1)~(3)の要件を満たさない場合は自由診療となるが、その場合でも「医師による治療」には変わりないため、かかった医療費はやはり医療費控除の対象となる。

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