2010年04月26日-1
金融庁、「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」を公表

 国際的な財務活動または事業活動を行う一定の上場企業の連結財務諸表について、2010年3月31日以後終了する連結会計年度から、任意に国際会計基準(IFRS)を適用することができるようになっている。金融庁は23日、このIFRSに関して、一部に「誤解」を招く情報が出ているとした上で、「誤解」と思われる事例を集めた「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」と題した説明文書を公表した。

 昨年6月の「中間報告」公表を契機として、IFRSが上場会社に強制適用されることは間違いないとの観測もあり、メディアや関係者の関心はヒートアップ。様々な情報が乱れ飛び、中には、コンサルティング会社や監査人から早急な準備の必要性を説かれ、対応に苦慮している現場もあるという。このようなIFRSを巡る“混乱”に鑑み、金融庁が説明文書を公表したわけだ。同誤解は、「全般的事項」と「個別的事項」の2本立て。

 全般的事項では、「非上場の会社(中小企業など)にもIFRSは適用されるのか」、「全面的なITシステムの見直しが必要か」、「監査人の対応が厳しくなるのではないか」、「財務諸表は英語でも作成する必要があるのか」などを、個別的事項では、「徹底した時価主義ではないのか」、「減価償却方法は現行の定率法が全く使えなくなるのではないか」など、会計・開示面中心の事案をQ(誤解)&A(実際)形式で解説している。

 例えば、「非上場会社(中小企業など)にもIFRSは適用されるのか」との見方については、「非上場の会社に対するIFRSの強制適用は必要なく、将来的にも全く想定されていない」と解説。また、「全面的なITシステムの見直しが必要か」との情報も誤解だとした上で、「IFRSを適用するために必要な範囲で、既存のシステムの見直しを行えばよい」と説明している。

 さらに、「監査人の対応が厳しくなる~」については、「IFRSになると、プリンシプル・ベース(原則主義)になるので、監査人の言うとおりにしなければ監査意見をもらえなくなる」との情報は誤解だとした上で、「IFRSになったからといって、会計監査人の権限が強くなるわけではない」とし、「プリンシプル・ベースのIFRSに基づく財務諸表を作成できる体制を整備し、会計処理等を自ら説明することが重要」との補足もある。

 同IFRSに関する誤解の詳細は↓
 http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100423-2/01.pdf

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