2010年04月22日-2
相続分売買による所有権移転登記は軽減税率不適用

 「相続分の売買」を登記原因とする土地の所有権の移転登記に係る登録免許税について、措置法72条に規定する軽減税率(2011年3月31日まで1000分の10等)の適用が受けられるか否かに関する法務省民事局の文書照会について、国税庁はこのほど、「あくまでも相続分を譲渡(売買)したもので、土地そのものを譲渡したものではなく、措置法72条の適用はないと考える」とする法務省見解を支持する旨回答した。

 照会は、相続財産である不動産について、法定相続分による相続人への所有権の移転の登記(「共同相続の登記」)がされている場合において、遺産分割前に相続人から第三者への相続分の譲渡があったときは、「相続分の売買」または「相続分の贈与」を登記原因として、相続分を譲渡した相続人から第三者へのその相続人の持分全部移転の登記をすることができるが、この場合に、措置法72条の軽減税率が適用できるのかどうかというもの。

 民法第905条第1項では、共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、その第三者はその相続人が有していた相続分すなわち包括的な相続財産全体に対する持分あるいは法律的な地位を取得すると解されている。そして、登記手続でも、相続分を譲渡した相続人から第三者へのその相続人の持分全部移転の登記をすることができることとされている。
 
  しかし、措置法72条の制定趣旨は、土地取引の活性化等を目的として登録免許税の軽減をするもので、土地そのものを売買の目的とする場合に限ると考えられる。しかし、相続分の譲渡は、包括的な相続財産全体に対する持分または法律的な地位の譲渡であり、相続財産に土地が含まれていても、土地そのものの売買ではなく、登記に係る登録免許税において、軽減税率の適用はできない、との法務省見解を、国税庁が支持した。

 同文書照会の全文は↓
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/sonota/100331/02.htm#besshi01

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