2010年04月08日-2
更正の請求期間経過後でも認められる「後発的事由」

 更正の請求とは、申告所得額や税額の計算が、税法に従っていない、または計算に誤りがあったことにより税額が過大であり、あるいは還付金相当税額が過少であることなどを、法定申告期限後に気づいた場合に、納税者の側から所得金額や税額の更正を求める権利である。還付請求が認められれば払いすぎた税金が還付されることになるが、納税者から更正の請求がなければ過大部分の税金はそのまま国庫に入ることになる。

 通常の場合の更正の請求期限は、法定申告期限から1年以内である。今年の所得税の確定申告(2009年分)であれば2011年3月15日が期限日だ。また、確定申告義務のない人が医療費控除などで「還付申告」を行い、申告後に還付請求漏れに気づいた場合も更正の請求ができる。この場合の請求期限は、原則として還付申告書を提出した日または所得税の法定申告期限のうちいずれか遅い日から1年以内とされている。

 ところが、法定申告期限から1年(更正の請求期間)経過後であっても、更正の請求が認められる場合がある。申告の基となった契約などについて別の判決が出されたことや、更正・決定によって所得の帰属が異なったこと、やむを得ない事情により契約が解除されたこと、などの「後発的事由」によってすでに納付した税額が過大になった場合には、原則としてその事由が生じた日の翌日から2ヵ月以内に更正の請求ができる特例がある。

 このような更正の請求があった場合には、税務署長は、後発的事由を確認した上で、減額更正を行い、減額した税額を還付することになる。そして、この更正の請求後、3ヵ月を経過して還付される場合には、所定の還付加算金も加算される。また、このような場合の税務署長が行う減額更正については、「法定申告期限から5年以内」という期間制限は適用されず、後発的事由が生じた日から3年以内に行えばいいことになっている。

 なお、更正の請求をするときは、更正請求書を税務署長に提出しなければならないわけだが、更正の請求があった場合でも、先の納税申告によりその請求に係るすでに確定した税額の納付義務はそのまま存続している。したがって、その間納付すべき国税の徴収は原則として猶予されない。ただし、請求内容の正当性が一見明白であるなど相当の理由があると認められるときは、その国税の徴収を猶予することができる。

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