2010年04月08日-1
定期金評価、経過期間中の受取人変更は新規契約扱い

 周知のように、2010年度税制改正で定期年金に関する評価方法が見直され、相続税の節税策がまたひとつ封じられた。これまで、例えば、定期金給付事由が発生している有期定期金については、その残存期間に受けるべき給付総額に20%~70%の割合を乗じた金額で評価するとされていたが、今後は解約返戻金や一時金相当額で評価される。改正法の適用は、原則、2011年4月1日以後の相続等からだ。

 ただし、経過措置があり、2010年3月31日までに締結された定期金給付契約で2010年4月1日~2011年3月31日の間に相続・贈与により取得するものについては、改正前の評価を適用する。この経過措置が税制改正大綱時点で明らかになっていたことから、今年3月31日までに一時払い個人年金保険の契約を締結し、来年3月31日までに受取人を変更するなどの方法で改正前の評価減を狙う駆け込み的な契約も相当あったようだ。

 ところが、3月31日公布の政令では、政令施行日前に締結された定期金給付契約のうち同日から2011年3月31日までの間に、定期金受取人等の変更など、契約内容に変更があったものは、軽微な変更を除き、その変更日に新たに締結された定期金給付契約とみなすとされた。駆け込み的契約のなかには、経過措置期間中に贈与して旧法適用で節税しようという目論見のものが多かったとみられ、生保業界に波紋が広がっている。

 駆け込み的契約が可能だったのは1年以内にお金の支払いが始まる短期契約を扱っていた生保4社程度とみられ、契約総額は3000億~4000億円程度にのぼるという。そのなかで、契約者が父親で受取人が子どもといったケースは旧法適用となるが、契約者・受取人が本人で経過措置期間中に受取人を子どもに変更(贈与)しようとしていたケースは目論見が外れる。このため、該当する契約者からのクレームが生保各社に相次ぎそうだ。

 なお、改正省令附則第2条では、(1)解約返戻金の金額、定期金に代えて一時金の給付を受けることができる契約に係る当該一時金の金額、給付を受けるべき期間または金額、予定利率など、契約に関する権利の価額の計算の基礎に影響を及ぼす変更や、(2)契約者または定期金受取人の変更、(3)当該契約に関する権利を取得する時期の変更、は上記の新たな契約とはみなされない「軽微な変更」には該当しないことを明記している。

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