2010年04月01日-2
清算所得課税を廃止し通常の所得課税に移行

 2010年度税制改正においては資本に関係する取引等に係る税制の見直しが行われたが、注目されるのは清算所得課税の廃止である。従来、会社が解散した後は、通常の所得(「益金」-「損金」)ではなく、「残余財産の価額(時価)」からその解散時における税務上の「資本金等の額と利益積立金額」との合計額を控除した「清算所得金額」に対して課税する「財産課税方式」により計算されていた。

 改正後は、通常の所得課税方式に移行する。つまり、通常の事業年度と同様に「収益」から「費用」を控除した「所得金額」に対して課税する。ただし、解散前と後で所得計算の方法が変わらなくなっても、法人の性格が変わることから「みなし事業年度」は従来どおり設けられる。また、期限切れ欠損金の損金算入制度を整備するなど、清算所得課税における場合とバランスの取れた制度となるよう、所要の措置が講じられる。

 解散時に実質的な債務超過の会社が清算する場合、これまでの財産課税方式では、仮に債務免除益が生じても清算所得は生じないが、所得課税では、債務免除を受けた場合にはその債務免除益に課税される可能性がある。そこで、債務超過にある会社が清算する場合には、税負担が改正前と比べて不利にならないように、残余財産がないと見込まれるときは、いわゆる期限切れ欠損金の損金算入が認められる。

 期限切れ欠損金は、累積繰越欠損金額(法人税申告書記載の利益積立金)から青色欠損金額を控除したものだ。また、連結子法人の解散が原則として連結納税の承認の取消事由から除外される。連結法人の解散(合併による解散を除く)のうち、破産手続き開始の決定による解散以外のものが、連結納税の承認の取消事由から除外される。これらの改正は、2010年10月1日以後に解散が行われる場合について適用される。

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