2010年03月25日-2
日税連税制審が「所得控除と税額控除のあり方」答申

 池田隼啓・日本税理士会連合会会長の諮問機関である税制審議会は3月17日、「所得税における所得控除と税額控除のあり方について」を答申した。わが国の税制において基幹税目と位置付けられている所得税には15種類にのぼる控除項目と8種類の加算措置が設けられているが、民主党政権誕生以後、所得控除から税額控除へシフトすることが適当との意見もあり、所得控除と税額控除のあり方を検討するよう求められていた。

 答申では、所得控除の項目は、それ相応の目的をもって導入され、かつ納税者個々の担税力に配慮したものだが、複雑多岐な制度となり、税制の簡素化に反するとともに課税ベースが浸食され、財源調達機能が低下する一因と指摘。一方、税額控除は、現行の所得税法が所得控除を中心として構築されており、法制面や実務面からの問題点は少ないが、課税最低限の規律が困難、納税者・税務当局の事務負担増の懸念があると指摘している。

 このため、控除項目の趣旨・性格に応じ、所得控除として存置あるいは廃止または縮小すべきもの、税額控除に移行すべきものに区分した上で扶養控除の簡素化、社会保険料控除の縮小、社会保障目的の所得控除の廃止または税額控除への移行等を提言。最低生活費を不課税とするための基礎的人的控除に集約、現行制度の見直しによる課税最低限の引下げや税負担の過度の増加には、基礎控除等の引上げで対処することが適当としている。

 さらに重要な視点として、税制と社会保障制度の一体化について、税と社会保険料の徴収を一元的に行うことは、行政効率の向上に資すると考えられるが、それぞれの制度の役割分担を明確にし、その目的を実現するために相応しい仕組みを採用することが重要で、税制に過重な社会保障機能を担わせると、税制の複雑化を招くとともに、非効率な制度になりかねないことに留意する必要がある、と指摘している。

 同答申の全文は↓
 http://www.nichizeiren.or.jp/guidance/pdf/toushin_H21.pdf

ウィンドウを閉じる