2010年03月11日-2
金融庁、監査基準の改訂案について公開草案を公表

 金融庁は3月5日、監査基準の改訂案(公開草案)を公表した。今回の改訂は、鑑査人の監査報告書における意見表明の内容等を規定している報告基準について、国際監査基準(ISA)との差異を調整するための技術的な手当てとして、「第四 報告基準」のうち、「監査報告書の記載区分」と「追記情報」を見直す改定を行ったもの。この公開草案に対する意見募集は、3月19日まで受け付ける。

 監査報告書の記載区分について、現行のわが国の監査基準では、(1)監査の対象、(2)実施した監査の概要、(3)財務諸表に対する意見、を記載することが求められている。一方、明瞭性プロジェクト後の国際監査基準では、監査報告書を(1)監査の対象、(2)経営者の責任、(3)監査人の責任、(4)監査人の意見、に区分した上で、(1)の監査の対象以外については、それぞれ見出しを付して明瞭に表示することを要求している。

 そこで、わが国の監査基準においても、監査報告書の記載区分を現行の3区分から4区分にするとともに、国際監査基準において求められている記載内容を踏まえて、それぞれの記載区分における記載内容を整理している。例えば、監査の対象に含まれていた「財務諸表の作成責任は経営者にあること」という記載を「経営者の責任」の区分に記載することにより明確化している。

 また、追記情報、すなわち、「監査人の意見とは別に、説明または強調することが適当と判断した事項」を「情報として追記するもの」については、財務諸表における記載を特に強調するためにその記載を前提に強調する「強調事項」と、監査人の判断において説明することが適当として記載される「説明事項」を、それぞれ区分して記載させる。現行基準では、強調事項と説明事項との区分がなく、混在して規定されていた。

 それをISAと同様、正当な理由による会計方針の変更、重要な偶発事象、重要な後発事象などの、財務諸表における記載を前提に強調することが適当と判断した事項と、監査人がその他説明することが適当と判断した事項について、それぞれを区分して記載することを求める。なお、改訂監査基準の実施は、2012年3月決算に係る財務諸表の監査から。中間監査基準および四半期レビュー基準についても同様の措置が講じられる予定。

 同公開草案の詳細は↓
 http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100305-1/01.pdf

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