2010年03月08日-3
不動産鑑定業者の「依頼書兼承諾書」は非課税文書

 不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合に委託者と交わす「価格等調査業務依頼書兼承諾書」について、印紙税法別表第一<課税物件表>の第2号文書(請負に関する契約書)に該当するか否かとの照会に対し、国税庁はこのほど、課税文書には当たらない旨、回答したことを明らかにした。これは、社団法人日本不動産鑑定協会が同承諾書のひな型を添えて照会していたもの。 

 日本不動産鑑定協会では、2009年8月に国土交通省が「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン」を策定したことを受け、不動産鑑定士が行う価格等調査業務に関し、その不動産鑑定士が所属する不動産鑑定業者と委託者との間で交わす「価格等調査業務依頼書兼承諾書」と併せて「価格等調査業務標準委託約款」を定めた。

 そこで、同協会は、印紙税法別表第一(課税物件表)には、第2号文書として「請負に関する契約書」が掲名されているが、同承諾書は、「不動産の鑑定評価に関する法律」(第3条第1項の業務(鑑定評価業務)または同条第2項の業務(いわゆる隣接・周辺業務)であることから、本件業務の委託は民法上の「委任」に当たり、「請負に関する契約書」には該当せず、課税文書には当たらないと解して差し支えないかどうかを照会した。

 国税庁は、本件業務は、鑑定評価額があらかじめ特定されている性質のものではなく、不動産の適正な価格等の調査という事務処理を委託することを目的とするもので、民法上の委任契約に該当し、本件承諾書は、印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げる第2号文書(請負に関する契約書)に当たらず、また、同法別表第一(課税物件表)に掲げる他のいずれの文書にも該当しないことから、印紙税の課税文書には当たらないと回答した。

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