2010年03月08日-1
ホステスの源泉税の控除額を巡り国税側が逆転敗訴

 キャバレーやクラブなどで働くホステスの課税所得を計算する際、ホステスの報酬から差し引くことのできる控除額が、実際の勤務日数に応じた額か、報酬の支払期間に応じた額かが争われた訴訟において、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は2日の上告審判決で、報酬の支払期間に応じた額とすべきとの初判断を示し、国税当局の主張を認めた一、二審判決を破棄、審理を高裁に差し戻し、国税側が逆転敗訴した。

 この事案は、東京や神奈川などでパブクラブなどを経営する納税者らが、ホステスと15日ごとに報酬を支払う契約を結び、基礎控除額(1日5000円)を15日分差し引いて計算した額をもとに源泉徴収して納付していたところ、税務署が「控除額は5000円にホステスの実際の出勤日数を乗じて計算した金額にとどまる」として、不足分の源泉所得税の納付を求めたため、その処分の取消しを求めていたものだ。

 所得税法では、ホステスやコンパニオンなどの業務に関する報酬・料金に対し源泉徴収する所得税の額について、「(報酬・料金の額-控除金額)×10%」で計算した金額とし、同施行令において、控除金額については、「同一人に対し1回に支払われる金額について、5000円にその支払金額の計算期間の日数を乗じた金額」と定めている。原告の経営者側は、いわばこの条文に則って控除額を計算したといえる。

 最高裁小法廷は、「ホステス報酬で基礎控除方式が採られた趣旨は還付の手間を省くため」と指摘し、「施行令にいう『計算期間の日数』とは、ホステスの実際の稼動日数ではなく、その期間に含まれるすべての日数を指す」と判断、国税の主張を退けた。確かに、控除額が少なければ、ホステスが還付する事態も大いに考えられ、国税側が控除額が多すぎるというのであれば、そもそも「まず、税法を変えるべき」との実務家の意見もある。

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