2010年03月04日-2
節税効果で注目、中小企業倒産防止共済制度の拡充

 経済産業省は、中小企業の連鎖倒産を防止するためのセーフティネット機能の強化を図るため、中小企業倒産防止共済法の改正案を今国会に提出する。成立すれば、中小企業の支援を目的とする同制度が制度面・税制面の両面から拡充される。2010年度税制改正では、「定期金に関する権利の評価」の見直しが予定されており、生保商品による節税策が封じられることになりそうな今、確実な節税商品との声もあり注目されている。

 1978年に創設された中小企業倒産防止共済制度は、共済契約者が拠出する掛金を原資に、取引先が倒産した際、積み立てた掛金総額の10倍の範囲内で回収困難な売掛債権等の額以内の貸付を受けることができる制度だ。貸付を受ける都度、掛金総額から貸付額の10分の1が費用として控除される。掛金は、貸付を受ける権利を得るための実質的な対価であることから、掛金拠出時に損金算入する課税特例が認められている。

 改正案では、共済金の貸付限度額を閣議決定により迅速に引き上げることができるよう政令事項に改めた上で、貸付限度額を現行の3200万円から8000万円に、掛金総額の限度額を同320万円から800万円に、掛金月額の限度額を同8万円から20万円にそれぞれ引き上げる。この制度の対象は、法人と事業所得のある個人で、不動産所得の個人には認められないが、法人であれば不動産賃貸業であっても適用される。

 この共済掛金は全額損金・必要経費となるが、最大の特徴は、この掛金が単なる掛捨てではないところにある。解約は自由で、納付月数が12ヵ月以上なら80%、40ヵ月以上なら100%の掛金が戻ってくる。もちろん無利息ではあるが、100%戻ってくる。いわば積立預金と同様のものだが、積立預金と違って、納めた掛金がすべて損金(必要経費)となるのだ。節税効果が注目される所以である。

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