2010年03月01日-2
不動産所得の確定申告における要注意点

 2009年分所得税の確定申告も後半にさしかかったが、不動産所得の申告について、国税当局がマークしているポイントがある。誤りやすい部分をチェックしよう。まず、「敷金のうち償却費相当額(返還しない部分)を収入に計上していないか」……返還しないこととなる敷金は、その返還しないことが確定した年分の収入になる(所得税基本通達(以下「所基通」)36-7)ので要注意。

 「事業的規模の貸付けを行っていないのに、建物の取壊しによる資産損失を全額必要経費に算入し、赤字申告をしている」ケースがある。この場合、事業的規模でないものの資産損失は、損失を控除する前の所得を限度として必要経費に算入される(所得税法51条の4)。事業的規模であるかどうかの判定は、建物の規模が形式基準(5棟、10室)を満たしているか等で判断する(所基通26-9)。

 事業的規模をめぐる問題としては、「アパートが2人以上の共有とされている場合、貸付けの規模を共有持分で按分して判定している」……当然、その不動産全体の貸付けの規模で判定する。また、「貸室8室と貸地10件がある場合、事業的規模かどうかの判定を貸室のみで判定している」とき、1室の貸付けに相当する土地の貸付件数を「おおむね5」として判定するので注意が必要だ。

 また、「家賃の金額をめぐる係争に係る供託金を収入に計上しなかった」……契約の在否の係争に係る供託金は判決等のあるまで収入に計上しなくてよいが、賃貸料の金額の係争に係る供託金は、支払日の属する年分の収入となる(所基通36-5(2))。「事業税が課されている不動産貸付であるにもかかわらず、事業税を必要経費算入していない」ようなとき、後に更正の請求は可能だが、申告段階での控除を忘れずに。

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